Adam Mosseri
2021年6月8日
2023年5月31日午前9時(太平洋時間)更新: Adam Mosseriが、この投稿にInstagramでのランキングの最新情報、透明性、コントロールについての記載を追加した更新版を公開しました。Instagramの仕組みに関する最新情報については、最近投稿されたこちらをご覧ください。
仕組みがわからないものは、安心して利用しにくいものです。本記事は、Instagramの仕組みについて、これまでよりもわかりやすい説明ができればと考えて執筆しました。世間では多くの誤解があるようですが、Instagramの仕組みを正しく理解してもらえるように力を入れたいのです。これから数回にわたって一連の投稿を行い、Instagramの技術的な仕組みと、その仕組みがアプリの利用体験に与える影響について解き明かしていきます。その初回として、今回は次のような疑問にお答えしたいと思います。「自分に表示されるコンテンツは、どのように決められるのか?」「なぜ、自分が書いた投稿の一部の閲覧数が、ほかの投稿よりも多いのか?」「[発見]タブに表示されるものは、どのように決まる?」
誤解の中でもぜひ正しておきたいのは、「アルゴリズム」に関するものです。利用者が見たもの・見ていないものを監視するひとつのアルゴリズムというものは、Instagramには存在しません。さまざまなアルゴリズム、分類システム、プロセスがあり、それぞれには独自の目標があります。皆さまには、Instagramで過ごす時間を最大限に活用していただきたいと願っています。そのための最善の方法が、テクノロジーを利用して個々の利用者のエクスペリエンスをパーソナライズすることだと考えています。
2010年にリリースした当初のInstagramでは、単一の写真ストリームが時系列で表示されていました。利用者が多くなりシェアされるコンテンツも増えると、ほとんどの皆さまは、すべてのコンテンツどころか、見たい投稿すら全部はチェックできなくなりました。2016年には、見られずに終わったフィードの投稿の割合は70%に達しました。その中では、親しい人の投稿についても、半分近くが見逃されていました。このような状況を踏まえ、利用者の関心に基づいて投稿をランク付けするフィードを開発して導入したのです。
フィード、[発見]タブ、リールなどの各機能では、それぞれの使われ方に合わせた個別のアルゴリズムが使われています。例えば、ストーリーズ投稿は親しい友達の投稿を見るために使われる一方、[発見]タブは新しいものを求めて使われる傾向があります。こうした使われ方に基づいて、ランク付けの仕組みも変えているというわけです。
これまでの経験で明らかになっているのは、フィードとストーリーズが友達や家族などの親しい人のコンテンツを見るために利用されていることです。あらゆるランキングアルゴリズムがそうであるように、Instagramのランキングも複数のステップに分解できます。
はじめに、ランク付けの対象とするものを明確にします。フィードとストーリーズについては、わりと簡単なことです。利用者がフォローしている人がシェアした最近の投稿が、これに該当します。広告のような例外も多少ありますが、Instagramで自動的に表示されるもののほとんどは、自分がフォローしている人によってシェアされたものです。
次に、投稿内容、投稿者、および利用者の好みについて、私たちが持っている情報をすべて集めます。こうした情報を「シグナル」と呼び、数千個のシグナルが存在します。投稿がいつシェアされたのか、使っているのはスマートフォンかPCか、動画に「いいね!」する頻度はどのくらいかなど、ありとあらゆるものがシグナルになります。フィードとストーリーズで使用される重要なシグナルを、おおよその重要度に基づいて以下に示します。
こうした情報に基づいて一連の予測を立てます。つまり、さまざまな形で投稿に反応を示す可能性を、情報に基づいて推測するわけです。予測の数は十数個ほどです。フィードの場合、特に重視するアクションは5つあります。投稿を数秒見る、コメントする、「いいね!」する、再シェアする、投稿者のプロフィール写真をタップする、です。投稿に対してアクションを起こす可能性が高く、かつ、その重み付けが大きいほど、その投稿はより上位に表示されます。Instagramでは、随時シグナルや予測を追加および削除して、利用者が興味を持つコンテンツをより多く表示できるように努めています。
その他の仕組みを考慮に入れようと試みることもあります。例えば、同じ投稿者による投稿を連続して何件も表示することは、できるだけ避けるようにしています。別の例としては、フィードから再シェアされるストーリーズが挙げられます。最近まで、そのようなストーリーズの重み付けは小さく設定されていました。オリジナルのストーリーズのほうが見たいという声をいつも伺っていたからです。しかし、世の中がワールドカップで盛り上がったり、社会不安が高まったりしているときなどは、投稿の再シェアが増え、自分のストーリーズが平時よりも多くの人びとに届くことを期待するようになります。こうしたことを考え、再シェアの重み付けを小さく設定することは止めました。
Instagramとしては、利用者に自由に自己表現してほしいという気持ちが常にありますが、ほかの人の安全を脅かす可能性のある内容が投稿された場合は、しかるべき措置を取ります。Instagramのコミュニティガイドラインは、フィードとストーリーズだけでなく、Instagramのすべてのコンテンツに適用されます。ここで規定されているルールの大半は、人びとの安全を守ることに重点を置いています。このコミュニティガイドラインに違反する投稿を発見した場合は、その投稿を削除します。違反が繰り返し行われた場合は、その利用者によるシェアを禁止したり、最終的にはアカウントを停止したりする可能性もあります。もちろん、私たちが誤った判断を下すこともありえます。措置が間違っていると思われた場合は、こちらの手順に沿って異議申し立てを行うことができます。
別の重要な問題として、誤情報が挙げられます。第三者ファクトチェッカーによって虚偽と判断された投稿については、削除はいたしません。ただし、ラベルが付けられて、フィードやストーリーズでは目立たないように表示されます。誤情報を複数回にわたり投稿した場合は、その投稿者のすべてのコンテンツを見つけにくくする措置が取られることがあります。
[発見]タブの目的は、新しいことを見つけやすくすることです。ここに表示されるのは、それぞれの利用者のためにInstagramが探し出した、おすすめの写真や動画です。そのため、表示されるものの大半がフォローしているアカウントのコンテンツで占められるフィードやストーリーズとは大きく異なっています。
ここでも、まずはランク付けをする投稿を明確にします。ある利用者が興味を持ちそうな写真や動画を見つけるために、その人が過去に「いいね!」した投稿や、保存・コメントした投稿などのシグナルに注目します。例えば、あなたが最近、サンフランシスコでダンプリングを作っている、シェフのCathay Biさん(@dumplingclubsf)のいくつかの写真に「いいね!」したとしましょう。Instagramは、Cathayさんの写真に「いいね!」したほかの利用者を調べ、そうした人びとが他に興味を持っていることを調べます。すると、Cathayさんに「いいね!」した人は、サンフランシスコの点心レストラン@dragonbeauxにも関心があることがわかりました。この場合、あなたが次回、[発見]タブを開くと、@dragonbeauxの写真や動画が表示されるかもしれないというわけです。ここからわかるのは、あなたがダンプリングに関心を示した場合、関連トピックである餃子や点心に関する投稿が表示される可能性があることです。ただし、Instagramはそれらの写真の内容を必ずしも理解しているわけではないのです。
興味を持ってくれそうな写真や動画を集めたら、次は、それぞれの写真や動画に対するあなたの興味の度合いを予測し、それに基づいて並び替えます(フィードやストーリーズでのランク付けとほぼ同じです)。興味の度合いを予測するのに最もよい方法は、その投稿に対してアクションを起こす可能性を予測することです。[発見]タブで予測するアクションのうち特に重視するのは、「いいね!」、保存、シェアなどです。以下に、特に重要なシグナルをおおよその重要度順に示します。
[発見]タブでは、自分がフォローしていない人の投稿が表示されます。そのため、問題がある投稿を目にした場合の対応は異なってきます。フォローしている友達による不快な投稿をフィードで見つけた場合、それは自分と友達との問題となります。一方、知らない人による不快な投稿を[発見]タブで見つけた場合は、扱いが異なります。
こうしたことを考えて、Instagramではコミュニティガイドラインに加え、[発見]タブなどで推奨されるルールを設けています。これは、おすすめに関するガイドラインと呼ばれています。このガイドラインでは、見た人を不快な気持ちにさせたり、デリケートなトピックを扱っていたりする可能性がある投稿を避けるなどのルールが規定されています。例えば、[発見]タブには、タバコや電子タバコの利用を推奨するコンテンツを表示しないように努めています。
リールの目的は、見て楽しんでもらうことです。[発見]タブと同様に、リールで目にする投稿のほとんどは、フォローしていないアカウントの投稿です。そのため、ランク付けのプロセスも非常に似通っていて、まず、気に入ってもらえそうなリール動画を集めてきてから、興味の度合いの推測に基づいてそれらを並び替えます。
ただし、リールの場合は「楽しさ」が特に重視されます。私たちは利用者を対象に、特定のリールを「楽しい」または「面白い」と感じるかを調査してフィードバックを集め、利用者が楽しめるリールを見極められるように努めています。その際は、フォロワー数があまり多くないクリエイターにも目を向けています。予測を立てるうえで重要なのは、リールを最後まで見る、「いいね!」する、「楽しかった」や「面白かった」とコメントする、音源ページに移動する(自分のリールを作ってみたいという刺激を受けたことを意味します)などのアクションです。以下に、特に重要なシグナルをおおよその重要度順に示します。
[発見]タブに適用された「おすすめに関するガイドライン」は、リールにも適用されます。さらに、解像度が低いものや透かしが入ったリール、ミュートになっているリール、枠線があるリール、大部分がテキストで覆われたリール、政治的な問題を扱ったリールなども、おすすめの対象からは外されます。
「シャドウバン」、すなわち何かを不当にブロックまたは削除したとして非難の声が寄せられる場合があります。この言葉は、皆さまがInstagramで経験したさまざまな事象を指して幅広い意味で使われています。これについては、至らなかった面があったと受け止めています。コンテンツを削除する理由や、推奨される行為と推奨されない行為、および、Instagramのおおまかな仕組みについて、これまで必ずしも十分に説明しきれていなかったのです。そのために利用者の皆さまが「シャドウバン」について必然的に独自の考えを持つようになり、それが混乱や被害者意識につながることもありえます。ただし、これは決してInstagramが望むことではありません。私たちは状況を改善するため、全力で取り組んでいます。私たちはまた、毎日数百万に及ぶ報告に対応しています。そうすると、ほんの一部について対応を誤った場合でも、数千人の人びとが影響を受けることになります。
自分の投稿への「いいね!」やコメントが少ないことも、「シャドウバン」として語られているのを耳にします。これについては、そもそも、ある利用者の投稿がいつも同じ数のオーディエンスにリーチできるとは限りません。実際のところ、あなたのフォロワーのほとんどは、あなたがシェアしたコンテンツを目にしていません。なぜなら、ほとんどの人はフィードに表示される投稿の半分も見ていないからです。ただし、私たちにできることとして、コンテンツを削除する理由についてオープンにわかりやすく開示するとともに、対応の誤りを減らし、誤りが生じた場合は素早く正し、システムの仕組みについてよりわかりやすく説明するよう努めるのは、可能なことです。そのため、投稿が削除された場合などに、その投稿者に即座に理由が通知される高度なアプリ内通知機能を開発しているところです。また、投稿内容がおすすめに関するガイドラインに違反した場合に投稿者に通知する方法についても検討を重ねています。他にも多くのことを近日中に発表する予定です。また、今回の一連の投稿の中でも、後ほど詳しく触れる予定です。
Instagramで何が表示され、何が表示されないかは、Instagramの使い方に大きく左右されます。自分が楽しいと思うプロフィールやコンテンツと関わりを持つだけでも体験の向上に役立ちますが、表示されるコンテンツにもっと明示的に影響を与える方法もいくつかあります。
コンテンツをどのようにランク付けし、利用者に表示または表示されないようにするかについて情報を提供することは、やるべきことのほんの一部に過ぎません。利用者の皆さまがInstagramの利用体験を自分好みにしやすくするために、私たちができることは他にもあります。ランク付けのテクノロジーについても引き続き改善の必要があり、対応の誤りも減らす必要があります。今回の投稿で取り上げた3つの分野(フィードとストーリーズ、[発見]タブ、リール)の仕組みについて、これからも積極的に説明していきたいと思います。どうぞご期待ください。
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